先日、家族4人で温泉旅館に一泊してきました。
久しぶりの家族旅行。日頃の疲れを癒しに、自然に囲まれた大型の温泉施設へ。
金額は4人で6万円弱。安くはないけれど、内容を考えれば妥当な価格。
大浴場にバイキング、広々としたロビーに、充実したアクティビティ。
料理もそこそこ美味しかったし、温泉も気持ちよかった。子どもたちも楽しそうだった。
それでも——。
なぜか、心のどこかが満たされないまま、旅を終えて帰ってきました。
便利で整った旅館の“落とし穴”
振り返ってみれば、旅の最中から小さな違和感が積み重なっていました。
バイキング会場は人でごった返し、料理を取るのも一苦労。
温泉も時間帯によってはかなり混雑していて、他人の目や距離感を気にしながらの入浴。
館内は広すぎて、食事会場から部屋までの移動だけでちょっとした運動。
「非日常」を味わいに来たはずが、どこかで“人に合わせて動いている”感覚が抜けなかったのです。
もちろん、施設としてはよくできているし、コスパも決して悪くない。
でも、だからこそ生まれる「期待」と「現実」のギャップに、心がざわついたのかもしれません。
6万円の旅に、何を求めていたのか?
正直、6万円という金額は、決して“安い”とは思っていません。
それなりに支払った対価だからこそ、どこかで「満足したい」「癒されたい」という期待が大きくなっていたのだと思います。
でもその期待が、結果的に“過密な空間”“疲れる移動”“心が休まらない時間”に打ち消されてしまった。
これは、決して施設のせいではないと思います。
むしろ自分自身が、40代という年齢になり、旅に求めるものが変わってきたことに、ようやく気づいたのかもしれません。
中年の旅に必要なのは「静けさ」と「余白」
20代や30代の頃は、賑やかで便利な場所が楽しかった。
人が多くても、多少の疲れがあっても、それを上回る“動き”や“体験”が刺激になっていた。
でも今は、静かな空間、のんびりとした時間、人と人との距離感。
そういった「余白」こそが、自分を癒す要素になっているのだと、今回の旅で痛感しました。
旅の目的は「休むこと」だったはずなのに、
結果的に「気を張って過ごす時間」になってしまっていた。
それは、家族のために選んだ選択でもあったけれど、自分の心にはフィットしなかった。
これからの旅に求めたいもの
今回の体験は、「癒しの旅」とは何か、自分にとって本当に満たされる時間とは何かを見直す良いきっかけになりました。
人が少ない、移動が少ない、空間に余白がある。
そんな静けさや落ち着きは、今の自分にとっては大切な価値です。
とはいえ、今回の旅は“家族旅行”であって、自分一人のためのものではありません。
子どもにとっては、バイキングも大型施設も、温泉プールも、目を輝かせる体験の連続だった。
その楽しそうな様子を見ていると、「それでよかったんだ」と思える自分もいます。
だからこそ思うのは、これからは旅の目的をちゃんと分けて考えることの大切さです。
「家族でにぎやかに楽しむ旅」もあっていい。
でもその一方で、「自分を癒すための静かな旅」も、きちんと別で設けていきたい。
全部をひとつの旅に詰め込もうとすると、どこかで無理が出てくる。
その無理を、自分ひとりが引き受けてしまうと、満たされなさだけが残ってしまうのかもしれません。
家族と過ごす時間も、自分と向き合う時間も、どちらも大切にしたい。
だからこそ、それぞれに合った旅のかたちを、これからは丁寧に選んでいこうと思います。
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